袴田事件

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袴田事件(はかまだじけん)は、1966年6月30日に静岡県清水市(現在の清水区)で一家4人が殺害された強盗殺人放火事件。また、本事件において死刑判決を言い渡された袴田巌は冤罪の疑いが強いとされており、再審開始が決定されている。

事件概要[編集]

1966年6月30日、静岡県清水市で放火が発生して焼け跡から一家4人の死体が発見。19歳の長女のみは生存。1966年8月18日、袴田が強盗殺人、放火、窃盗容疑で逮捕される。

取り調べ[編集]

袴田は逮捕後、下の表のような取り調べを受けている。

日時 取り調べ時間 その他
8月18日 13時間08分 強盗殺人、放火、窃盗容疑で逮捕
8月19日 10時間30分
8月20日 9時間23分
8月21日 7時間05分
8月22日 12時間11分
8月23日 12時間50分
8月24日 12時間07分
8月25日 12時間25分
8月26日 12時間26分
8月27日 13時間17分
8月28日 12時間32分
8月29日 6時間55分
8月30日 12時間48分
8月31日 11時間32分
9月1日 13時間18分
9月2日 11時間15分
9月3日 11時間50分
9月4日 16時間20分
9月5日 12時間50分
9月6日 14時間40分
9月7日 11時間30分
9月8日 12時間45分
9月9日 14時間00分 強盗殺人罪、放火罪、窃盗罪で起訴

裁判経過[編集]

  • 1968年9月11日、静岡地裁は無罪を訴える弁護側の主張を退けて死刑判決。
  • 1976年5月18日、東京高裁により弁護側の控訴棄却。
  • 1980年11月19日、最高裁が弁護側の上告を棄却。死刑判決が確定。
  • 1981年4月20日、弁護側が第一次再審請求。
  • 1994年8月9日 - 静岡地裁は再審請求を棄却。弁護側が即時抗告。
  • 2004年8月27日 - 東京高裁が即時抗告棄却。弁護側が最高裁に特別抗告。
  • 2008年3月24日 - 最高裁が特別抗告を棄却。
  • 2008年4月25日 - 弁護側が静岡地裁に第二次再審請求。
  • 2014年3月27日 - 静岡地裁(村山浩昭裁判長)は再審開始及び袴田の死刑拘置の執行停止を決定。袴田は東京拘置所から釈放される。検察側は即時抗告。
  • 2018年6月11日 - 東京高裁(大島隆明裁判長)は、静岡地裁決定を取り消して再審請求棄却。弁護側が特別抗告。
  • 2020年12月22日 - 最高裁第三小法廷(林道晴裁判長)は、東京高裁は審理を尽くしていないとして再審請求棄却の決定を取り消して、高裁に高裁に審理を差し戻し。
  • 2023年3月13日 - 東京高裁(大善文男裁判長、青沼潔裁判官、仁藤佳海裁判官)は検察の即時抗告を棄却。再審開始を決定した。検察側は最高裁への特別抗告を断念して再審開始となる。

本事件で冤罪の疑いが指摘されている理由[編集]

  • 上記にあるように8月18日から9月9日まで連日のように10時間以上の取り調べが行われ、自白調書は45通に及んでいる。数多くの冤罪を生み出したとされる刑事紅林麻雄の下で捜査をしていた刑事が袴田事件の捜査をやっているとされ[1]、長時間にわたる拷問まがいの取り調べで強要された自白という指摘がされている。裁判においても自白調書45通の中から44通を任意性がないと証拠として認めていなかった。逮捕当日の検察官調書のみ証拠採用されているが、これについても弁護側は任意性はないと否定している。

関連項目[編集]

脚注[編集]

外部リンク[編集]