界塚伊奈帆

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界塚伊奈帆(カイヅカ イナホ)とは、オリジナルアニメALDNOAH.ZEROに登場するキャラクターである。本作の主人公の1人。

概要[編集]

CV:花江夏樹
地球に住む両親の間に生まれた、地球生まれの地球育ちの少年。両親は物語開始前の地球とヴァース帝国の戦争の最終局面「ヘブンズフォール」の災厄により死亡しており、伊奈帆には両親の思い出が無い。軍人である界塚ユキは実のであり唯一の肉親でもある。
第1期では日本の湾岸都市である新芦原市に暮し、市内の高校に通う高校生だった。学業もカタクラフトの操縦もトップクラスの成績を収めており周囲からも一目置かれていた。第2期では数々の戦績によって少尉に昇進している。ちゃっかり姉よりも上官になっている。

地球に来訪したアセイラム・ヴァース・アリューシアの暗殺テロに巻き込まれ、それを発端として再び戦争が勃発し世界中の都市が壊滅する。戦火から逃れる途中で暗殺されたはずのアセイラムと付き人のエデルリッゾと遭遇、さらに火星騎士の1人・トリルラン卿のカタフラクト「ニロケラス」によって目の前で友人を殺されてしまう。なんとか難を逃れるものの敵が闊歩し後数時間で隕石爆弾が投下される市内に閉じ込められるという危機的状況を打開するべく、数少ない手持ちのカタクラフト「スレイプニール」3機と持ち前の状況分析能力と計算力を武器に戦いを挑む。

第2期には暫くの戦場から離れていた後に航空戦艦「デューカリオン」部隊に復帰。復帰直後にヤーコイム卿のカタフラクト「エリシウム」を撃破し完全復活を知らしめた。表に出ているアセイラムは偽物で本物がどこかに居ると見抜き、アセイラムを助け出すべく更に戦いを続ける事を決意する。

性格[編集]

感情の起伏が少なく滅多に顔色や表情を変えたりしない。劇中では矢継ぎ早に異常事態が降りかかり、地球のカタフラクトを部隊ごと葬り去れる敵が次々襲い掛かるという絶望的状況なのだが、伊奈帆は顔色を変えず声を荒げる事もせず、淡々と取るべき行動をとる。
しかし、決して冷淡な人間ではなく、分かりにくいだけで人間らしい感情はちゃんと備わっている。友人の死に静かに悲しみ・くやしさ・怒りを表したり、アセイラムを気遣う・韻子を戦いに巻き込んだ事を謝罪したりと、優しさ・暖かさを確かに持っている。優しい故に仲間を守るために危険を背負い込んだり荒業や無茶をする場面も多く、勝利のために火星騎士セルナキス卿のカタクラフト「ソリス」のビーム砲を反らすための囮役を買って出たユキに対しては動揺していた。また、第2期になってからは気遣いや表情を見せる事も多くなった。

日常では常にマイペースで、ユキや網文韻子を翻弄している。女心に疎いようで、韻子の気持ちに全く気が付かず、このさまを見たライエ・アリアーシュの呆れにも淡々と反応している。

能力[編集]

物語開始時では実戦経験は皆無だが、恐ろしく高い戦術眼を持つ。次々と巻き起こる異常事態や生命の危機に瀕する状況であっても顔色一つ変えずに淡々と状況を確認し、瞬時に最も効果的な行動や指示を的確に行う。計算力や判断能力・状況分析力・胆力も優れており、敵に圧倒されようとも冷静に観察し、逆転の策を見いだせる。操縦テクも高く、いきなりの実戦にも臆することなく、ハイレベルな戦闘技術もさらっとやって見せ、機体のスペックが遥かに上である軌道騎士のカタクラフト相手でも渡り合う。
この卓越した能力は幼少から持っていたようである。また、どうやら探究熱心な性格だったようで、様々な手段で多彩な知識を会得し蓄えていった。

第2期からは第1期ラストで失った左眼部分に最新技術で作られた義眼を埋め込んでいる。この義眼は単なる眼の代わりなだけでなく、アナリティカルエンジンというシステムを内蔵している。これは脳の未使用部分を拡張・使用し本人が思考すると同時にシステムも情報収集・計算・状況判断を行い伊奈帆の戦いを手助けする。これにより伊奈帆の元来の能力に上乗せされ、相手の声のパターンを記録し声の状態で嘘かどうかを見抜く、相手の体重の増減とそれによる食事内容の予測、的確な誘導で大気圏外や海上からの射撃を成功させる、弾道の軌道を読み取り弾着点を予測するといった芸当までを可能とした。未来予知まがいの事も出来る。伊奈帆の意識が無い時には思考を代行し他者との会話も可能。
なお、アナリティカルエンジンのプログラムは試作段階で伊奈帆自身により常に改良が加えられている。さらに、脳の拡張という手段は本人への負担が増えるという事でもあり、伊奈帆は影で副作用に苦しんでいる。終戦後はアセイラムを助け切ったと判断し取り除いている。左眼部分は眼帯を着けて隠している。

戦前では家事の一切を切り盛りしており、ぐうたらなユキにかわり主夫をしていた。家事関係の能力が無いユキの代わりに自主的に行い始めたという。

呼び名[編集]

韻子ら友人などからは「伊奈帆」、アセイラムからは「伊奈帆さん」、エデルリッゾからはフルネームでの呼称、ダルザナ・マグバレッジ鞠戸孝一郎ら「デューカリオン」の上官からは「界塚弟」又は「界塚+階級」と呼ばれている。ユキからは「なお君」と愛着を持って呼ばれている。スレイン・トロイヤードからは第1期では乗機スレイプニールの色に因んで「オレンジ」と呼ばれていた。

戦場でのコールサインは「マスタング00」。

服装[編集]

第1期では高校の制服を着用している。第2期に入ってからは軍支給の制服のシャツを着ている。

搭乗機体[編集]

スレイプニール[編集]

地球連合軍が「ヘブンズ・フォール」の災厄後に戦力を整えるために開発・配備した、地球産初のカタフラクト。
後継機である地球連合軍正式採用機「アレイオン」とパーツ・武装・オプション装備を統一しており、互換性を持っている。操縦方法も汎用OS「ASIMOV」を採用した事で同じである。オプションパーツを取り換える事で様々な地球環境や宇宙空間にまで対応可能な汎用性の高さを誇る。
脚には大型安定翼が装備されており、外見上の特徴の一つでもある。これにより悪路でも安心して走行が出来、踏破性を高めている。安定翼にはスラスターも併設されており、短時間なら大気圏内でのホバリングでの低空飛行が可能。
所々空気取り入れ口がむき出し状態のままになっている。後継機であるアレイオンはちゃんと装甲が増設されており、それ故に防御力はアレイオンと比べて低い。一方で装甲が無い分機動力では上回っており、特に火星騎士のカタフラクトの攻撃力は当たる=即死であり装甲は無意味であるため、スレイプニールの機動力は有効な武器となっている。

物語開始時には既に一戦を退いており、兵科教練用の練習機として運用されていた。機体カラーのオレンジ色は練習機である事を示すものである。
「ニロケラス」との戦いに臨む際に伊奈帆達によって格納庫から3機持ち出され戦力として使用され、以後乗機として活躍していく。火星騎士ブラド卿のカタフラクト「アルギュレ」との再戦を制する際に1機を失う。伊奈帆達が正式に地球連合軍に配属された際にアレイオンが配備されたが、伊奈帆は乗り慣れているという理由からスレイプニールを引き続き乗機とした。

多くの火星騎士を倒してきた伊奈帆の実績によって、ヴァース帝国側からはオレンジ色は地球側のエースカラーと認識されるようになったという。

交友関係[編集]

  • アセイラム・ヴァース・アリューシアを助け、火星騎士との戦いの最中でその正体を知った以降、地球とヴァース帝国双方の争いが激化していく中で責任感を感じるアセイラムの傍に常に寄り添い支えていた。第1期では随所に2人の仲が描かれており、ライエに首を絞められ仮死状態に陥ったアセイラムを懸命な処置で助けるなど、伊奈帆本人も自覚しないうちにアセイラムに惹かれて行った模様。第2期では間接的にだがアセイラムが伊奈帆の命を救うきっかけとなる、伊奈帆がアセイラムに教えた「地球が青く見える理由」から演説に出ているアセイラムが偽物である事を見破る、など離れ離れになってしまったもののお互い大切な存在になっている事が分かる。軍がアセイラムの暗殺を目論み月面基地を襲撃した際には阻止するべく、内密に基地に潜入。アセイラムとついに再会した。直前の戦闘で弱っていたため再会直後に気絶したが、アナリティカルエンジンが起動し意思疎通を取り、アセイラムからスレインを助けてほしいと頼まれた。「アセイラムを助ける」事が伊奈帆の戦う理由である。
  • スレイン・トロイヤードとはお互い本作の主人公を務めているが、第1期では殆ど接点が無く、機体越しに初対面となった種子島でのフェミーアン卿のカタクラフト「ヘラス」との戦いでは共闘したものの、戦闘が終わると途端にアセイラムを巻き込むとしてスレイン機を撃墜してしまっている。第1期12話ラストシーンでようやく面と向かっての対面となった。第2期2話で初対決に突入し、対決前後にお互いの名前を初めて確認している。伊奈帆はスレインをアセイラムの居場所を知る存在・鍵と見ており、第1期とは打って変わって強く意識している。月面基地内における生身での交戦後、最終決戦での大気圏突入にまで至った一騎打ちの末にスレインを破り戦いに勝利した。アセイラムとの約束を守り、スレインを殺さず留置所に収監し世間に死んだと偽る事で命を助け、その事実をスレインに伝えた。
  • 網文韻子やカーム・クラフトマンとは学校の同級生で気心の知れた友人であり、数々の戦いを一緒に協力して潜り抜けてきた戦友でもある。そのため、お互い信頼し合っており絆は強い。韻子は伊奈帆に恋心を抱いているが前述した通り伊奈帆はそれに気付いていない。伊奈帆が無断でマズゥールカ卿を逃がした際に韻子がそれを目撃し一時的に伊奈帆を疑うという事態が発生するが、火星騎士との戦いの後に伊奈帆が韻子に心の奥底を吐露した事で疑心は消滅した。
  • 界塚ユキの事は、仕事場・戦場での凛々しい姿とは裏腹にだらしない私生活の姿に呆れつつも、大切に思ってくれるユキに感謝している。アセイラムを助けるために再び軍に戻った際には、民間人に戻るよう説得するユキを振り払いつつも心配してくれる事に感謝した。
  • ライエ・アリアーシュの辛い事情(アセイラム暗殺未遂テロの実行犯・スパイの娘でその父親をトリルランに殺されている)を知っている数少ない人物でもある。ライエの心理状態や苦しんでいる事も察しており、心情を叫び自虐したライエを気遣い大切な仲間であり自虐内容のような悪人ではないと断言しきった。腹を割った仲だからか、マズゥールカを釈放する際には協力を仰ぎ、ライエも承諾している。
  • マズゥールカ卿を捕虜とした際に、その際の行動と言動を分析し、純粋にアセイラムに忠義を誓っている人物と見抜いた。やり取りで信頼に足る人物と分かったようで自身が知っている真実を話した後に、アセイラム救出のために独断で釈放している。

関連タグ[編集]

ALDNOAH.ZERO ヒーロー テレビアニメ