日産・フェアレディZ

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フェアレディZ(FAIRLADY Z)とは、日産自動車が製造する乗用車である。日産の自動車として、日産・スカイラインGT-Rやその後継の日産・GT-Rと双璧をなすスポーツカーである。

概要[編集]

かつて日産が製造していたダットサン・フェアレディの後継車種として、1969年に初代となるS30系フェアレディZが登場。海外ではダットサンブランドのまま発売され、国内外で55万台という大ヒットとなった。特に北米では「プアマンズポルシェ」と称され現代にいたるまで高い人気を誇る。2000年に4代目であるZ32型の生産終了に伴い、一時は系譜が途切れるものの2002年には5代目となるZ33型が登場。カルロス・ゴーンによる日産リバイバルプランにおいて日産スポーツカーのフラッグシップとして位置づけられていた。現行車種は2008年にフルモデルチェンジしたZ34型である。2020年までの前期型はZ33の意匠を引き継ぎつつ進化・成熟させたモデルであるが、2020に発表された後期型モデルはRZ34の型式とともにフルモデルチェンジに近いビッグマイナーチェンジを果たしている。

初代(S30)[編集]

S30型 Z432(展示品、ボンネットオープン状態)

初代となるフェアレディZは1969年に発売される。北米市場の販路拡販のため、現地におけるアイコン的な自動車となるべく開発された経緯がある。軽さと剛性に優れたモノコックボディによるロングノーズ&ショートデッキの流麗なスタイルは今なお高い評価を得ているデザインであり、後のS130型やRZ34型にもその意匠が引き継がれるものとなっている。

搭載されるエンジンは信頼性のある直列6気筒L型エンジン。国内向けに2Lが、北米市場向けに2.4Lが採用されている。なお、後に2.8Lモデルも追加されている。駆動方式は後輪駆動のみである。

Z432というモデルはサーキット走行を前提としたZ432Rというモデルもあり、購入にはモータースポーツのA級ライセンスが必要であったとされている[1]。Z432にはL型ではなくスカイラインに搭載されていたDOHC直列6気筒のS20エンジンが搭載されているほか、Z432Rにもなると100Lの燃料タンクや樹脂製のボンネット、サイドウィンドウとリアウィンドウがアクリルに置き換えられるなど効果的に計量され、車重は1tを切るほどであったという。

2代目(S130)[編集]

1978年に2代目にフルモデルチェンジを果たしたZは先代の意匠の多くを受け継ぐものの、5マイルバンパーやサッシュレスドアの採用など、細部に改良が施されている。運動性能にもメスが入れられており、リアサスペンションがストラット式からセミトレーリングアーム式に変更されたほか、前後ディスクブレーキの標準化やセンターピラーの採用により剛性の強化などが図られている。快適装備も充実しており、一部グレードでパワーステアリングクルーズコントロール、フルオートエアコンなどが採用されている。 1980年には国産車として初めてTバールーフを採用。スポーツカーとしての性能を進化させながらラグジュアリーなグランドツーリングカーとしての側面も見せた。

3代目(Z31)[編集]

1983年に登場した3代目Zは全体的なボディコンセプトは継承しつつ、リトラクタブルヘッドライトを採用したほか、エンジンがそれまでのL型直列エンジンではなくVG型のV型6気筒エンジンが採用され、登場当時は全車ターボチャージャー装着モデルであるなど[注 1]ているなど、全面刷新といって差し支えないほど進化している。なお、1985年に追加されたグレードである200ZRは直列6気筒DOHCエンジンであるRB20DETが搭載される。S30型に搭載されたS20エンジン以来の直列DOHCエンジンであり、もともと搭載されていたR31型スカイラインからタービンを変更し、タービン部にセラミックを用いたセラミックターボを世界で初めて採用した。

4代目(Z32)[編集]

1989年に3度目のフルモデルチェンジを果たし、4代目となったZである。歴代Zの中でも特にワイド&ローなデザインとなっており、Z32からは全車3ナンバーサイズまで拡大されている。また、ヘッドライトがボディと一体となったカバーの中に設置されているという特徴的なフロントマスクを持つ。このヘッドライトユニットは日産・R390に流用されただけではなく、スーパーカーであるランボルギーニ・ディアブロに流用されていることは有名である。

搭載されるエンジンは先代に搭載されていたVG型のV型6気筒である。特にターボモデル(VG30DETT)はツインチャージャーであり、当初は300PSで販売する予定であった。この時、日産はこのZの他にスカイラインGT-R(R32型)と日産・インフィニティQ45の三台がそれぞれ最高出力300PSをたたき出していたことから「300PSトリオ」として広告するつもりであったが、さすがに運輸省[注 2]から怒りの行政指導により280PSに抑えられてしまう。また、同時期は第2次交通戦争と呼ばれるほど交通死亡事故が増加しており、運輸省が日本自動車工業会へ馬力規制を要請することになった。そのため、運輸省の指導により280PSで形式認定が通ったZ32までは運輸省のお墨付きだとし、国内自動車における馬力規制の自主規制値が280馬力と定められた。

カルロス・ゴーンの愛車であったことも知られている。

5代目(Z33)[編集]

Z33バージョンT(前期)

先代のZ32型が2000年にフルモデルチェンジをせず販売終了後、新たに日産CEOに就任したカルロス・ゴーンが新型Zの開発を指示。当時はゴーンのCOO時代に打ち出していた「日産リバイバルプラン」による各種コストカットの最中であり、方針にあえて逆行させるようなZの開発であった。Z32の販売開始後にZ33の開発が進められていたが、バブル崩壊などの影響で開発は一時中断したというエピソードなどから「復活のZ」ともいわれているモデルである。2002年に発売された。

ボディスタイルは3ドアファストバッククーペと2ドアオープンカーであり、先代までに設定されていた2by2は設定されず2人乗りに統一される。先代に比べてボディによる空力が向上しており、スポイラーなしでフロントゼロリフト[注 3]を達成。オプションの前後スポイラーを装着することでリアのリフトも抑えることができる。

エンジンは日産・VQ型エンジンの3.5Lエンジンのみとなり、自主規制上限いっぱいの280馬力を発揮する。なお、モデル末期には300馬力を超えていたという話もある。組み合わされるトランスミッションは5ATと6速MT。

主なバージョンとしてスポーツ志向のSとラグジュアリー志向のT、すべての装備を兼ね備えたSTが設定されていた。

6代目(Z34)[編集]

Z34型については前期型と後期型で大きく変わっているため、分割して記述する。

前期(Z34)[編集]

2008年にフルモデルチェンジを果たし、6代目Zとなって登場する。先代モデルのデザインを踏襲しつつ、先代のZ33で効率が悪かったトリプルメンバー構造などを見直し、車重の増加を抑えながら剛性の向上に成功している[注 4]。また、リア周りの構造も特に見直された結果、Z33で賛否が分かれていたタワーバーのようなフレームが無くなり積載性と後方視界の向上に寄与している。

エンジンも登場当時で自然吸気エンジンの世界最高出力を誇るVQ37VHRが搭載され、吊るしで330PSを超える出力があったとされている。なお、ECUのセッティングによりZ34に最適化されたチューニングが施されている。組み合わせられるミッションは6MTと7ATである。マニュアルトランスミッションの基本構造は先代と同じであるが、ブリッピング(シフトダウンに伴う回転合わせ)を自動で行う電子制御が世界で初めて搭載された。ATは先代の5速から7速に変更され、ジヤトコの大容量タイプの物が装備される。また、変速制御にも手を入れられている。ATの1~3速は加速用にギア比がクロスしており、VDCをオフにした場合の0発進時はホイルスピンすることもある。

後期(RZ34)[編集]

2020年にビッグマイナーチェンジが発表。2年後の2022年から受注を開始したものの、あまりに多くの注文を受けたことから同年8月でオーダーストップする事態に。ビッグマイナーチェンジとは言いつつも新エンジンや新トランミッションを搭載し、エクステリアデザインも一新されているなどほぼフルモデルチェンジといっていいほどの変更点がある。

搭載されるエンジンは排気量を落としつつもツインターボを装備するVR30DDTT。ダウンサイジングターボと称されることもあるが、最高出力はVQ37VHR以上の400PSオーバーとされている。Z32以来のツインターボのZであり、エクステリアデザインも初代S30型と4代目のZ32を合わせたようなデザインになっている。6速マニュアルトランスミッションはZ34を踏襲するものの、オートマチックトランスミッションは9速になりTRCも装備される。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. 海外仕様にはNAモデルが存在する
  2. 現在の国土交通省
  3. フロントリフトとは高速走行時に車体が浮き上がり、ハンドリングが不安定になること。ゼロリフトということはそれらがなく安定していること
  4. Z33はボンネットに軽量なアルミ合金を採用しており、Z34はそれをドアやリヤハッチにも採用したことも大きいとされる

参考[編集]