揉解法

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揉解法とは、(主に手によって)「ときほぐす」技法全般をいう。
温法や足力なども含まれ、筋肉の老廃物を絞り出すことやリンパ腺液の流れをよくすることや自律神経を整えるなどの効果があるとされる。

概要[編集]

「按摩」「推拿」「マッサージ」など、技法は各種ある。「按摩」は「按[1]」(圧す)「摩」(撫でさする)であり、「推拿」は「推す」などがあり、その他「掴む」などもある。ただし鍼灸学校では実技として教えられてはいないという。
ちなみに「苦手」は揉解法から生まれた言葉とされ、手指の関節が固いと「握力はあるが、当たりがゴツゴツして気持よくない」という意味だという。確かに腕のいい人は関節の可動域が広く、親指が手首につくひとが多い。合気道などを学んでいる人は、手首から先の間接が柔らかく、しかも二の腕の筋肉が発達していて握力が強く、ポイントを押えるのがうまいため、上手なひとが多い。中国拳法の中でも北派、とくに太極拳・八卦掌・蟷螂拳などの使い手は得手の人が多いが、もったいなくて揉んでもらうのも気づまりだし気安く揉ませてもらうのも申し訳がないので、同門の友人がいると便利ではある。

方法[編集]

温法[編集]

温泉に浸かるのがいちばん効果的である。ややぬるめの湯にゆっくり浸かるとよいとされる。
その他、蒟蒻を使うもの、茹でた鴨の玉子を使うもの、いわゆる氷枕(看護分野では「ひょうちん」と云われる。英語では「ウォーターバッグ」であり、日本語では「みずまくら」である。なお、湯も「ホットウォーター」である[2])を使うものがあるが、氷枕を使うときは口金を二つ互い違いに用いるのが安全である。もちろん湯たんぽ(「湯湯婆」と表記されることもある)代わりにも使える。

叩打法[編集]

いわゆる「肩たたき」であるが、僧帽筋や菱形筋、最長筋などを狙って水平に近い角度で叩く。このとき拳を固く握ると伝達関数のマッチングが悪いため、手首の力を抜いてインパクトの瞬間に握るとよい。
いわゆる「僧帽筋症状」を起こしている被術者は「くすぐったがり」が多いので、叩打法は有効である。「拳を作らず指を伸ばしてパラパラと叩く」「掌を合わせて間に空気を溜め、それが抜ける作用をショックアブソーバーにして手の甲で叩く」などの技法もある。

指圧[編集]

大きく三段階がある。

  1. まず筋肉が逃げない(ゴリッとゆかず)かつ効きそうなポイントを探し(これが難しい)、
  2. ある程度押したのち筋肉中の老廃物(乳酸など)が流れ出るように数秒(三秒から五秒ほど)待ってから、
  3. パッと圧力を抜く。

握力が必要であるため、プロの施術者は数がこなせない。したがって固定客がついているプロの指圧師やスポーツマッサージャーが(高いが)巧い。下手をすると(武道や格闘技をやっている)素人のほうが巧かったりもする[3]。握力が鍛えられるので、按法と指圧を共に身につけると、陶芸や麺打ちなどの(いわゆる菊練り)技術も向上したりする。
頸部を揉むときは、首の重みを軽減するために、鎖骨のあたりに顎をのせてもらうとよい。
なお、指圧の語は浪越徳次郎による。浪越徳次郎は、来日したマリリン・モンローの胃痙攣を快癒したというエピソードで知られる。

足力[編集]

饂飩を踏むことを考えていただきたい。被術者が寝そべって足を延ばし、施術者が土踏まずを踏むなどが足力のひとつである。

按法[編集]

両掌を掌底を合わせて推すのが代表的な用法である。
胸椎をほぐすときなどに用いられる。そのとき「ポキ」「ボキ」と鳴るのは関節内に溜まっている液体がキャビテーションを起こしているせいであり、特に害はない。
中国武術における「胡蝶掌」は、回し受けから引き倒して相手のバランスを崩して双按を放つものであり、いわゆる「カメハメ波」である。

その他[編集]

「被術者が俯せになって脚をZ字型にして、施術者が足のつま先部分を持ってブルブルと振る」とか、「頭蓋骨の乳様突起あたりを支えて上に引っ張り上げる」とかいった技法もある。

関連作品[編集]

  • 桑田乃梨子『ほぐれゆく私』(『卓球戦隊ぴんぽん5』二巻に所収。白泉社、1993)。主人公は「揉解」と書かれたTシャツを愛用している。

脚注[編集]

  1. 「突きとばす」「推しとばす」の意もあり、中国武術では重要な技法のひとつである。
  2. カップ麺を調理する際は、「ボイルド・ウォーター」(沸騰水。あるいは「熱湯」)を使わなければならない。
  3. 「入門して半年くらいは掃除と師匠の肩揉みしかやってませんでした(笑)」という人もいた。