成層圏気流

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成層圏気流(せいそうけんきりゅう)とは、松本零士原作のOVA「ザ・コクピット」の第一話である。

概要[編集]

第二次世界大戦中のドイツ空軍戦闘機パイロットの物語である。

ストーリー[編集]

第二次大戦の終盤、ドイツの敗北は目に見えていた。

ラインダース大尉はドイツ空軍の撃墜王であった。イギリス空軍戦闘機スピットファイアとの空中戦で、僚機は敵機から攻撃を受けて空中爆発。彼の戦闘機も敵に追尾される。ドイツ空軍フォッケウルフ Fw190 型は空気が希薄な高高度では性能が大幅に低下するため、スピットファイアから逃れることが困難となり、ラインダース大尉は被弾してもいない愛機から脱出してしまう。

ライダースは敵から攻撃されることを怖れ、ギリギリまでパラシュートを開かなかった。湖上に降りた彼は泳ぎもせず、岸に流れ着くまで夜空を見ながら物思いにふけっていた。

無人となった愛機は自分を見捨てたパイロットに抗議するかのように、燃料を使い果たして滑空し、草原に不時着する。機体には一つの弾痕もなく、ラインダース大尉は卑怯者の烙印を押されてしまうが、彼には汚名挽回のチャンスが与えられる。それは、バフスタイン教授が開発した秘密兵器をV2号ロケットの発射場まで運ぶ大型機の護衛であった。

実はラインダースは以前、バフスタイン教授の助手であり、教授の娘のメルヘンナはラインダースの恋人であった。教授の研究資金を得るためにメルヘンナは他の男に嫁いだのであった。メルヘンナの夫は結婚してすぐに戦死したのだという。出発前、メルヘンナはラインダースに、平和だった時代の思い出話をした後、積み荷が世界で最初の原子爆弾であることを伝える。

原爆を守り抜いて核攻撃を成功させ、戦況を逆転させれば汚名は挽回される。しかし、その結果大勢の民間人が殺されるのである。

ドイツが勝とうが負けようが任務が成功すればラインダースは再会した昔の恋人と結ばれ幸せになれる。

ラインダース大尉は、高高度での性能を大幅に向上させた最新型戦闘機フォッケウルフ Ta152型 で飛び立つ。

原爆とバフスタイン教授とメルヘンナを乗せた大型機にイギリス空軍の戦闘機スピットファイア3機が近付いてくるが、最新型戦闘機を操縦するラインダースにとって、そんなものを叩き落とすのは容易いことであった。ラインダースは2機を撃墜するが、そのまま敵前逃亡してしまう。最後に残ったスピットファイア1機に、原爆とバフスタイン教授とメルヘンナを乗せた大型機を撃墜させるためであった。

メルヘンナとバフスタイン教授は炎上する大型機の中で、原爆の使用を食い止めてくれたラインダースに感謝しながら死んでいった。

ラインダース大尉は、尊敬する教授と自分の恋人だった女性を死なせ、汚名に汚名を重ね、原爆の使用を食い止めたのである。

ラインダースの行為は敵からも味方からも称賛されることのない、神のみぞ知る偉業であった。

その他[編集]

スピットファイアが空冷エンジンという解説は間違いである。

イギリス空軍の制空権がドイツの全域に及んで、常にイギリス空軍機がドイツ上空を哨戒しているかのような描写があるが、それは戦況から考えてもスピットファイアの航続距離から考えても設定にやや無理がある。

レシプロ戦闘機で垂直上昇を続けるシーンがあるが、それも少々無理がある。

物語を30分以下に纏めるためか、一夜の出来事のような描写になってしまっている。もう少し時間枠を広げ、登場人物に感情移入できるようにしたら凄いアニメになるに違いない。

ドイツの将兵は普通は悪役である。しかし、この作品はイギリス軍人は平凡な軍人で、ドイツ軍人が崇高な精神の持ち主のように描かれている珍しい作品である。

この作品をアメリカ人やイギリス人が観たらどう感じるか?ドイツ人が観たらどう感じるか?お察しくださいユダヤ人が観たら主人公の精神性の高さを理解しようともせずに、闇雲に反発するだけかも知れない。

関連項目[編集]