丁夫人

丁夫人（ていふじん、生没年不詳）は、後漢末期の女性。曹操の正室だった女性であるが、離婚した。

生涯

曹操の正室であったが子宝には恵まれず、側室の劉夫人が生んだ曹昂と清河公主を劉夫人の没後に自分の子として養育した。しかし197年、曹昂が張繍との戦いで敗れた際、負傷した曹操をかばって身代わりに戦死した。これを知った丁夫人はヒステリックになり、曹操の顔を見るたびに曹昂の戦死についてなじったという。このため腹を立てた曹操は離婚はしなかったが丁夫人を実家に帰して気持ちを落ち着かせようとした。

曹操が気持ちは落ち着いただろうと判断して丁夫人の下を訪れた際、夫人は機を織っているところであったが見向きもしなかった。曹操は夫人の傍にまで近づいて背中をさすって一緒に帰ろうとしたが、夫人は答えようとしなかった。曹操はもう一度だけ帰るように求めたが答えなかったため、曹操は遂に諦めて離婚した。その後、曹操は新しい正室に卞氏を迎えた。

没年は不明であるが曹操の存命中に死去したらしく、死後は卞氏が曹操に口添えして手厚く埋葬された。

感情剥き出しで強情な女性であり気性も激しく、そのため曹丕・曹彰・曹植・曹熊ら実子に恵まれた卞氏をいじめることもあったという。

『三国志演義』では子が無かったことを理由に216年に正室から廃され、卞氏が新たな正室に立てられている。

参考文献

• 井波律子『中国人物伝Ⅱ、反逆と反骨の精神、三国時代 - 南北朝』（岩波書店、2014年10月）
• 小出文彦 『三国志武将事典』（株式会社新紀元社。2014年12月）