レコード
レコード(Record, Vinyl Record)は、音声記録の意味と主に塩化ビニールなどの樹脂を素材として作られた円盤に音楽や音声などの「振動」を刻み込んで記録したメディアのこと。
解説[編集]
1877年にトーマス・エジソン発明のフォノグラフが始まりであり、1950年頃にステレオ盤が発売されてから、レコードが広がってきた。
CDやデジタル音源と同じく、振動を記録することで後から同じ音の再生が可能になる。
レコードにはその振動をアナログで記録した「マイクログルーブ(音溝)」と呼ばれる溝がある。
レコード針をマイクログルーブに触れることによって、音楽や音声の波に合わせて針が振動し、プレーヤーでは、アンプで増幅するカートリッジで変換された電気信号で、蓄音機では振動そのもので、音の再生を可能にさせる仕組みである。音質に関してもその溝を刻む「カッティング」という工程精度によって大きく異なる。
溝の構造はレコードの外側から内側に向かって1本に繋がっており、溝は左右45度のV字型で内側にLチャンネル、外側にRチャンネルの信号が記録されている。
レコードの種類[編集]
形状[編集]
レコード盤にはLP、EP、SPに分類されている。
LP (12インチ)[編集]
- 表裏で片面25分収録され、33回転再生。
EP(7インチ)[編集]
- 表裏で片面5分から8分収録され、45回転再生。
SP (10インチまたは12インチ)[編集]
- 表裏で片面3分、12インチは表裏で片面5分収録され、78回転。LPやEPが登場してからSPは生産されなくなった。
カラー盤[編集]
詳細は「カラー盤」を参照
ピクチャー盤[編集]
A面とB面に2枚で印刷された絵紙で挟むようにし、その上にビニールのシートが1枚乗せ、プレスしているもの。
正しい保管方法[編集]
- 音楽や音声などをを聴き終えた後、必ずレコードクリーナーなどで表面をクリーニングしてから、ジャケットに入れて保管する。どうしてもレコード盤に指紋が付いてしまうため、そのまま保管するとカビの原因になる。クリーニング後は皿を持つようにラベルと端に指を当てて持つこと。また、定期的にクリーニングをすることが大切である。
- レコードは樹脂素材なため、静電気が集まりやすく、ノイズの原因になるため、静電気防止スプレーなどの用品を使用して、メンテナンスすることが大切。
- 必ずレコードは、重ねたり、斜めたりせずに垂直に立てて保管する。そうしなければ、レコードが歪んでしまうため。
- ジャケットやレコードは、結露によってカビが繁殖するため、窓近辺やクローゼットや押し入れなどには保管しない。また直射日光の当たる場所に保管しないこと。
上記のようにレコードの扱いは大変であるが、この手間がレコードの楽しみの一つでもある。
レコードの匂い[編集]
レコードを購入し、開封した時に必ずやりがちなことは匂いを嗅ぐこと。
新品レコードの匂いを嗅ぐと、独特な香りがするが、これは剥離剤の匂いである。
中古レコードの場合だと、クリーニング剤の匂いであるが、カビくさいのもある。
高額買取されるレコードの特徴[編集]
レコードの中古相場の基準は「希少価値」である。
- オリジナル盤 - ファーストプレスされたレコードは高額で買取される傾向があり、主にジャズ、ロックなどのオリジナル盤は高価な値段でつけられる。後に再発売されたレコードの場合は100〜1000円くらいである。
- 流通が少ないレコード - 当時人気がなく、プレス数が少なかったが近年に再評価される作品はいうケースが挙げられます。しかし、今も人気がない作品は値段が付きづらい。簡単に言うと、後に人気になった作品のこと。
- 限定盤 - プレス数が決まっている限定盤は、プレミアがつくことがある。高音質で再発売プレスされた作品、人気アーティストの過去作品を集めたボックスセットなど。
- 帯付き - レコードの帯には半欠け帯、被せ帯、インサートなどがあり、帯自体に希少価値がある。帯は購入してすぐに捨てる人が多いため、帯付きで保存されたレコードの数自体が少ないというのが理由である。
レコードの再ブーム[編集]
1980年代後半からレコードは衰退期に入り、オワコンと化した。しかし、2022年後半から若い世代を中心にブームが起こっている。この世代になると、サブスクなどで聴くのが当たり前であるが、レコードの音を聞くと新鮮さを味わったりできる。また、ジャケットの見栄えの良さがお洒落に見えるというのも理由だろう。また、アメリカ合衆国では2022年レコードの販売枚数がCDを上回り、4100万枚を達成した。レコードの購入層は20代や30代などの若い世代の利用率が高い。
また、近年では、様々なアーティストが新譜や再発盤をレコードでリリースすることが多くなっている。