タキオン

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

タキオンとは、特殊相対性理論を満たしつつ、光速より速く進むと仮定された粒子。存在は確認されていない。

性質[編集]

特殊相対性理論によって否定されているのは、あくまで、もともと光速未満の速さで進んでいたものが加速して光速以上の速さになることなので、初めから超光速で進むタキオンであれば、特殊相対性理論には矛盾しない。これはどのような粒子なのであろうか。

ここで相対性理論の質量の公式は、mを質量、m0静止質量v速度、cを光速とし、

m=m0/√(1-v2/c2)

であった。v>cのとき、v2>c2であるから、v2/c2>1となり、ゆえに、根号の中が負になる。すなわち、超光速で進むタキオンの質量は、虚数になってしまうのである。タキオンはさらに不思議な性質をもつ。光速未満の速度で進むターディオンであれば、エネルギーを失うと減速していくが、タキオンはエネルギーを失うとなんと加速していくのである。そして、ターディオンがどれだけエネルギーを費やしても光速を超えられないように、タキオンはいくらエネルギーを費やしても光速を下回れないのである。そして、エネルギーが0になると速度はなんと無限大になってしまうのである。また、超光速で進むタキオンからは、チェレンコフ放射という衝撃波が発生する。放射線を検出する霧箱と同じ原理で、この衝撃波を検出することで、タキオンを検出できると考えられているが、検出には成功していない。

また、相対性理論によれば、運動する物体は、静止している物体より時間の進み方が遅くなる。そして、超光速で進むタキオンでは、時間の進み方が負になり、どんどん過去にタイムトラベルしていくことになる。これを利用した過去への通信が、理論的には可能であるが、そうなると未来の出来事が過去に影響を及ぼせることになり、因果律が破綻してしまう。また、タキオンがエネルギーを失って加速していくと、過去へタイムトラベルする「スピード」がどんどん増していく。すると最終的には宇宙誕生前にたどり着いてしまう。もっとも、我々の体はタキオンでできているわけではないので、タキオンでタイムマシンを作っても、我々だけ現在に取り残され、タイムマシンだけが過去にタイムトラベルすることになり、人間はタイムトラベルできない。また、タキオンが特殊なエネルギーをもち、人間の健康に役立つなどと謳う商品も存在するが、もちろん効果は証明されていない。