グリーンガスシステム

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グリーンガスシステム(Green gas system)とは、エアソフトガンの一種であるガスガンの動力源となる、低圧ガスの供給法のひとつである。タンクの色が緑色であること(二酸化炭素を参照)からこの名前がついた。Gガスと略して呼ばれることもある。 日本国外で「グリーンガス」と呼ばれるガスガン用ガスは、また別の規格で作られたガスであるため、混同しないよう注意が必要である。

概要[編集]

ガスガンは、外部から作動ユニットに供給された低圧ガスを利用して弾を発射する。そのため低圧ガスはガスガンにとって必要不可欠な存在であるが、この低圧ガスの供給法は大きく分けて二つの方法がある。

一つ目が、弾倉または本体内に液化ガスを注入し、気化した分を使用するリキッドチャージ式である。二つ目が、銃からホースを伸ばし、銃の外部にあるガスの供給源と接続して使用する外部ソース式である。(作動システムなどに関する詳細はエアソフトガン#ガスガン参照)。

ここで述べるグリーンガスシステムは二酸化炭素を用いた外部ソース式である。

グリーンガスシステムは液化二酸化炭素のガスカートリッジ(ボンベ)とレギュレータ(減圧弁)からなり、コンパクトなガスカートリッジから供給される高圧ガスをレギュレータで安全な圧力に減圧し、これをガスガンの動力として用いる。減圧は、最も高い圧力に設定しても0.5~0.55MPaにまで行われ、これはリキッドチャージ式で用いられるHFC134aの20℃での飽和蒸気圧 (0.57MPa) とほぼ同じ圧力である。

ちなみに、グリーンガスシステムに使用されている二酸化炭素は、ビールの発酵に伴って発生したものが使用されている。ガスカートリッジを箱買いすると、箱に「食品添加物」と明記されていることからこのことが分かる。

種類[編集]

2010年現在、一般的に市販されているグリーンガスシステムはサンプロジェクト製のみであり、74g入りのガスカートリッジを用いるグリーンガスと、15g入りのガスカートリッジを用いるグリーンガス2の2種類がある。かつては16g入りのガスカートリッジを用いる、グリーンガス2の前身と言えるミニグリーンガスも存在したが、こちらは販売が終了している。レギュレータは、吐出圧が0.5MPaで固定されたもの(グリーンガス2には存在しない)と、可変式のものと2種類が存在する。過去にはアサヒファイアーアームズマルゼンも同様のシステムを発売していた。

ガスカートリッジとレギュレータの接続は、グリーンガスとミニグリーンガスはガスカートリッジをレギュレータにねじ込むことで、グリーンガス2はガスカートリッジをレギュレータのカートリッジカバーに収納し、レギュレータ本体をカートリッジカバーにねじ込むことで行われる。

ガスカートリッジは使い切るまでレギュレータから外してはならない。まだ残っている高圧の二酸化炭素が噴出し、凍傷やガスカートリッジが飛ぶ等の負傷、事故の原因となるためである。ただし、一部のアダプターにはバルブが付いているため上記の問題は無い。

他の動力源との比較[編集]

グリーンガスシステムを他の動力源と比較すると、以下のような長所、欠点がある。

リキッドチャージ式との比較[編集]

  • 寒さに強い
  • 連射に強い
    HFC134aの沸点が-26.2℃に対し、二酸化炭素は-78.5℃と低温である。そのため、冬季や連射中といった低温下でも安定した気化が行われる。
  • 環境負荷が低い
    二酸化炭素は温暖化係数がHFC134aの1/1000以下である。また工場の排気ガスを精製利用している[1]ためカーボンニュートラルといえる。
    また、昼間ならば付近の植物に吸収される。
  • 初速が安定する
    リキッドチャージ式が気化したガスをそのまま使う(=温度変化による、ガスの圧力変動の影響をもろに受ける)のに対し、外部ソース式はレギュレータを通して使用するため、圧力変動を小さくできる。
  • 威力のコントロールが容易
    可変式レギュレータ使用時なら、任意の威力に合わせることもできる。
  • 銃の取り回しが悪い
    銃からホースが出るため、枝のような障害物に引っ掛かりやすい。また、マガジンにガスタンクがあるエアソフトガンにグリーンガスシステムを使用する場合、マガジンチェンジの度にホースをつけ替えなくてはならなくなり、非常に手間が掛かる。これは外部ソース式の宿命と言える。
  • 導入コストが高い
    高価なレギュレータを用いるためで、これもまた外部ソース式の宿命である。
  • 競技のルール上使用できないことがある
    ハイパワー全盛期の「外部ソース=高威力」のイメージを引きずった誤解、及び可変式レギュレータ使用による「競技中に勝手に圧力(威力)を上げるかもしれない」という不信感によるもので、これもやはり外部ソース式の宿命と言える。特にグリーンガスシステムはこういったものを引きずりやすい。#間違った使用法も参照。
  • に刺されやすくなる
    蚊は二酸化炭素濃度の高いところに向かう習性がある。

エアタンクとの比較[編集]

  • 小型、軽量
    エアタンクが小さくてもスプレー缶並みの大きさで、大きなものだと背中に背負うほどのサイズであるのに対し、グリーンガスシステムは拳銃用のマガジンポーチ(弾倉を入れるポケット)にすっぽり収まるサイズである。
  • 導入コストが安い
    ただし、これはエアソフトガン用エアタンクとの比較であり、エアタンクを汎用の空圧部品で1から組上げた場合はこの限りではない。
  • 寒さに弱い
  • 連射に弱い
    液化ガスを気化させて使用している以上、圧縮空気を用いるエアタンクには敵わない。
  • 環境負荷が高い
  • ランニングコストが高い
    圧縮空気を用いるエアタンクは、手動の空気入れを用いて充填することもできる。そのため、体力を消耗するものの、環境負荷、ランニングコストともに0とすることも可能である。また、グリーンガス使用後には「空のガスカートリッジ」というゴミが発生するが、エアタンクは一切ゴミが発生しない。
  • 蚊に刺されやすくなる
    蚊は、二酸化炭素を目印にして人間を探す。二酸化炭素であるグリーンガスを使用することは、蚊の接近を招く。

間違った使用法[編集]

グリーンガスシステムは高圧ガスを用いるため、高圧カスタムに用いられることがある。

  • ぶち抜きレギュ - レギュレータの改造によって無改造状態より高圧のガスを供給できるようにする。
  • スタスケ - ガスカートリッジにノズル(スタック助っと)を取り付け、液化二酸化炭素をリキッドチャージする。

このような使用する者がいたため、「グリーンガス=危険」のイメージを持つ者もいるが、正しい使い方をしている限りは夏のリキッドチャージ式と同等あるいはそれよりも低い威力しか発揮せず、決して特別危険なものではない。
現在市販されているガスガン(一部除く)は、特定の圧力以上になるとバルブが自動開放するようになっている。また、ガスガン全般に言えることだが、普通のガスガン用ガス使用時でも、摂氏40度を超える高温になるとガスタンク内圧が上昇し、ハンマーやファイアリングピンが放出バルブを叩ききれなくなる(東京マルイ製品等)か、放出バルブが勝手に開いて余剰圧力を放出する(マルゼン製品等)かして発射不能状態となる。なお、グリーンガスシステムを使用した際に3.5J/cm2(6㎜BB弾使用製品は0.989J、8㎜BB弾使用製品は1.64J)を超えると準空気銃の不法所持となり罰せられる。

脚注[編集]

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