旧中や

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
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旧中や(きゅうなかや)は、石川県金沢市東山の金沢町屋。

茶屋町の創立当初からの建物で、木造2階建、切妻造平入、桟瓦葺、中庭を配し敷地いっぱいに建つ。1階は玄関に大戸を設けて出格子形式とし、出格子の腰に笏谷石を用いて、格子は割りの細かなキムスコを設け、内部はみせの間や茶の間、台所など、女将と芸妓が使用する私的空間とする。2階は背が高く、雨戸を並べ戸袋を設けた茶屋建築独特の意匠が見られ、内部は前2階やひろま、はなれを座敷とし、全てが接客空間で、お茶屋特有の弁柄壁や群青壁の鮮やかで粋な空間を演出している。茶屋町の創立と廃止、再公許などの建物の歴史を推測させる2階正面柱の痕跡や、明治時代に定められた規則に伴い、幅が広く勾配が緩やかに改められた茶の間の階段、増築された近代和風建築のはなれなど、建築当初から現在に至るまでの建物の様々な変化を読み取ることができ、ひがし茶屋街の歴史を物語る建物として大変貴重な建物である。茶屋町創立当初は中や、慶応3年(1867年)に越か祢、明治時代中期にしおや、昭和時代前期に玉ひさと屋号を変え、昭和50年代までお茶屋が営まれた。現在では公開施設として活用されている。