並行在来線

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並行在来線(へいこうざいらいせん)は、JR新幹線に並行する在来線のことである。

定義[編集]

この言葉は法令用語ではないが、国土交通省は「整備新幹線区間を並行する形で運行する在来線鉄道」と定義している[1]

これらは従来走っていた特急列車が新幹線に置き換えられることによりローカル線となり、運賃収入も激減することから、原則として整備新幹線の開業時に経営分離されることとなっている。ただし九州新幹線に対して、採算が見込まれる鹿児島本線八代以北、川内以南や、並行して運行されている路線と扱われなかった北陸新幹線に対しての飯山線、北海道新幹線に対しての津軽線のように経営分離されない区間もあるほか、逆に新幹線に置き換えられる特急が存在しないにもかかわらず並行在来線として廃線が決定した北海道新幹線に対しての函館本線長万部 - 小樽間の例もある。要するにJRは第3セクターに不採算区間を押し付けたと解釈することもでき、不採算区間ばかり押し付けられた地方市町村や阿久根市魚津市など優等列車による大都市への直接往来が不可能になった地域[注釈 1]からは批判が相次いでいる。

一例として、北陸新幹線長野新幹線)は、1997年高崎 - 長野間開業により並行する信越本線が経営分離し、横川 - 軽井沢間の「横軽」は廃線となった。軽井沢 - 篠ノ井間は長野県で第三セクターしなの鉄道を設立して経営を引き継ぎ、2015年金沢延伸開業時には、長野 - 直江津間も分離されてしなの鉄道およびえちごトキめき鉄道に引き継がれている。なお、高崎 - 横川間は高崎線の末端区間、篠ノ井 - 長野間は篠ノ井線の端線のようにJRに残っているが、これに伴う路線名変更はされていない。

新幹線の線路と同一視される在来線[編集]

既設新幹線に並行する在来線の場合は、上記の定義から外れるため「並行在来線」ではないが[2]、俗に並行在来線という語が用いられる場合もある[3][4]。例えば、東海道新幹線は運賃・料金の計算においては東海道本線と同一の線路と見なされる[5]。このように、運賃・料金の計算において同一の線路と見なされる在来線を指す俗称として使用される。また、同一の線路と見なすことを「新在同一視の原則」と呼ぶ。前述の鹿児島本線のように経営分離されなかった場合も、原則として新在同一視の原則が適用される。ただし、経営分離されなかった並行在来線の線区内に新幹線の乗り入れ駅が2つ以上存在しない場合はこの原則が適用されず、別の線路と見なされる[注釈 2]

なお、ミニ新幹線の運行される在来線もはそもそも新幹線ではなく、在来線特急列車の扱いのため、これも「並行在来線」ではない。

また、リニア中央新幹線東海旅客鉄道(JR東海)の独力で建設され整備新幹線ではないので、こちらも並行する在来線は先述の定義から外れるため「並行在来線」は存在しない。

一覧[編集]

東海道・山陽・九州・西九州新幹線に並行する在来線
新幹線 事業者 在来線 事業者 区間 備考
東海道新幹線 JR東海 東海道本線 JR東日本 東京 - 熱海 (既設新幹線のため、並行在来線ではない)
JR東海 熱海 - 米原
JR西日本 米原 - 新大阪
山陽新幹線 JR西日本 新大阪 - 神戸
山陽本線 神戸 - 下関
JR九州 下関 - 門司
鹿児島本線 門司 - 博多
九州新幹線 JR九州 博多 - 鳥栖 - 八代 JRとして存続
八代 - 川内 肥薩おれんじ鉄道へ経営分離
川内 - 鹿児島中央 JRとして存続
西九州新幹線 長崎本線 鳥栖 - 新鳥栖 - 江北 未定
江北 - 諫早 地上設備を佐賀・長崎鉄道管理センターへ移管(第3種鉄道事業者)
運行は引き続きJR九州が担当(第2種鉄道事業者、上下分離方式
諫早 - 長崎 JRとして存続
東北・北海道新幹線に並行する在来線
新幹線 事業者 在来線 事業者 区間 備考
東北新幹線 JR東日本 東北本線 JR東日本 東京 - 盛岡 (既設新幹線のため、並行在来線ではない)
盛岡 - 目時 IGRいわて銀河鉄道へ経営分離
目時 - 青森 青い森鉄道へ経営分離
北海道新幹線 JR北海道 津軽線 青森 - 中小国 (新在で事業者が異なるため、並行在来線ではない)
海峡線 JR北海道 中小国 - 木古内 新在で線路を共用しているため、JRとして存続
江差線 木古内 - 五稜郭 道南いさりび鉄道へ経営分離
函館本線 函館 - 五稜郭 - 長万部 経営分離予定
長万部 - 小樽 廃線予定
小樽 - 札幌 JRとして存続予定
上越・北陸新幹線に並行する在来線
新幹線 事業者 在来線 事業者 区間 備考
上越新幹線 JR東日本 高崎線 JR東日本 大宮 - 高崎 (既設新幹線のため、並行在来線ではない)
上越線 高崎 - 宮内
信越本線 宮内 - 新潟
北陸新幹線 高崎 - 横川 JRとして存続
横川 - 軽井沢 廃線、バス転換
軽井沢 - 篠ノ井 しなの鉄道へ経営分離
篠ノ井 - 長野 JRとして存続
長野 - 妙高高原 しなの鉄道へ経営分離
妙高高原 - 上越妙高 えちごトキめき鉄道へ経営分離
JR西日本 上越妙高 - 直江津
北陸本線 JR西日本 直江津 - 市振
市振 - 倶利伽羅 あいの風とやま鉄道へ経営分離
倶利伽羅 - 金沢 IRいしかわ鉄道へ経営分離
金沢 - 大聖寺 IRいしかわ鉄道へ経営分離予定
大聖寺 - 敦賀 ハピラインふくいへ経営分離予定
未定 敦賀 - 京都 - 新大阪 未定

関連項目[編集]

  • 在来線
  • 筑肥線博多 - 姪浜間:並行地下鉄路線の開業で廃止された国鉄在来線。
  • 播但線姫路 - 飾磨港間:貨物メインの路線で、旅客列車は一日2往復程度しか走っておらず、並行私鉄線に対する競争力が無かったために廃止された国鉄在来線。
  • 伊勢鉄道伊勢線:廃止理由こそ特定地方交通線指定だが、三セク移管後の並行私鉄線対抗の積極策からJR非移管が現在でも評論家の非難の的にされている元国鉄在来線。

脚注[編集]

注釈
  1. 阿久根市はルートそのものから外れ、在来線特急「つばめ」の利用が不可能になったことへの弊害、魚津市では北陸本線梶屋敷以西が直流転換されないまま第三セクターに移管され、在来線特急「はくたか」が経由していた北越急行で設定されていた超快速などの速達列車が利用できない弊害が生じている。
  2. 鹿児島本線の新八代-八代、信越本線の高崎-横川および篠ノ井-長野間が該当する一方、上越妙高 - 直江津間は直江津 - 糸魚川間と連続していると見なされ、JR線群の分断を招いた。
出典