常福寺経蔵

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常福寺経蔵(じょうふくじきょうぞう)は、鳥取県日野郡日南町多里の経蔵。鳥取県指定文化財。

棟札から日野郡の大庄屋古都源八の外護を得た台翁(常福寺10世)が、郡内や出雲横田等周辺地域から浄財を募り、元文元年(1736年)に黄檗山萬福寺宇治市)から購入した鉄眼版一切経を納めるため、寛保3年(1743年)備前大工戸川半兵衛の手により建立されたことが判明する。貫花蔵の扁額が掲げられた花崗岩の切石二段積みの基礎上に建てた土蔵造で、白漆喰塗の壁の腰に六角形の平瓦を張り海鼠壁とする。屋根は頂部に露盤、宝珠が載った方形造唐破風向拝付で、元はこけら葺であったが、昭和48年(1973年)の修理時に銅板仮葺とされた。内部は格天井で間仕切りのない畳敷一室とし、上部に彩色を施した須弥壇の両側には、元文元年と寛保3年の棟札が掛かり、数千点にのぼる鉄眼版一切経が納められた引出棚が両側面に造り付けられている。県の文化財に平成26年4月15日指定された。由緒が明確で経蔵内に残る一切経とともに当初の形態を良く伝えており、鳥取県内に類例が少ないことからも貴重といえる。