プレス・エンバーゴー

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

プレス・エンバーゴーnews embargo or press embargo、報道管制、報道解禁時刻[1])とは、特定の時刻や状況まで、情報やニュースを公開しないように、情報源となる企業や人物が求めることである。

概要[編集]

報道やPR、あるいはIR・プレスリリースにおける新商品発表、医学誌、政府広報で主に用いられる。メディアは詳細について事前に知らされているので、報道解禁時刻より前に記事などを用意することができる。これにより、スクープ報道競争が過熱するあまりに、曖昧な情報が世に出回る事態を防ぐことができる。この方法は、情報源がニュース報道に介入するための方法のひとつになるため、「匿名情報としての提供」「情報提供の制御」「政府や市場による介入」などの手法に並び、報道倫理のトピックとして議論される。

報道解禁時刻は、一種の紳士協定として手配されており、了解として、報道解禁時刻が守られずに、事前に情報が発表されることがあった場合(飛ばし記事の原因のひとつ)、以後そのメディアには詳細情報が与えられなかったり、他社に比べて良い扱いが長期的に得られなくなったりする。こういった事態は(メディア内での齟齬や故意によって)しばしば発生し、これは重大な背信行為と考えられている。

プレスリリースが発表される場合、多くはこの報道解禁時刻が設定されてメディアに持ち込まれるため、報道解禁時刻を設定しないリリースの場合は「For Immediate Release(即時発表)」と明記されることもある。

例として、次のような場面で使われる。

  • IMFによる隔週のニュースレター「IMF Survey」は、通常14:30UTC(23:30JST)に解禁されることで知られる。
  • 2003年、アメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領がイラクを訪問した際、その情報は、訪問が完了し、イラクを離れるまで報道管制が敷かれた。これは警備上の理由で、これが破られた場合訪問が中止される旨が同行した記者に伝えられていた[2]
  • イギリス国防省は、一部のメディアに対し、アフガニスタンにおいてヘンリー王子が従軍していることを報道管制付きで伝えていたが、およそ2か月後にこれが破られると、報道管制を破棄し、王子とその他の兵士の安全のため直ちに帰国させた。
  • カナダオーストラリアにおいては、一部の重要な政府発表の前に記者に内容が知らされるとともに、インサイダー取引等の防止のため、会見が行われるまで記者らを既定の場所に閉じ込め、資料を提供する場合がある。ここで報道のために必要な資料等を作成することができる[3][4]

脚注[編集]