飛行船

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飛行船(ひこうせん)とは、流線型の気嚢にキャビンとプロペラ、それを回す発動機を取り付けた航空機である。長大な航続距離と滞空時間を持つ。
航空機はHTA(大気よりも(比重が)重い)とLTA(大気よりも軽い)。
飛行船はLTAである。

概要[編集]

軟式飛行船と硬式飛行船の二種がある。

長所と短所[編集]

速度や機動性では飛行機に劣るが、飛行機によりも僅かな燃料で長時間飛行ができる。

気球との違い[編集]

気球は任意で上昇と下降ができるものの、水平方向への移動は風任せとならざるを得ないが、飛行船は自在に水平方向への移動ができる。

長所と短所[編集]

「殆どの面で気球よりも優れている。」という評価もあるが、熱気球や観測気球などもあり、風船爆弾の例もあるため、それなりに一長一短はある。

歴史[編集]

19世紀後半に発明され、1900年に実用化された。第1次世界大戦では、ドイツ陸軍が偵察や爆撃に多用された。飛行船は機体が大きい上に速度が遅く、しかも、機銃等で武装しても上から攻撃を受けたら全く無力で、通常、空中戦では戦闘機の敵ではないのだが、複葉機であった第1次世界大戦当時の戦闘機の速度は飛行船より少々速い程度で、高高度を維持すれば複葉戦闘機がその高度に達する前に飛び去ることができたのである。だが、乗務員に対する防護ができず、低空での運用が主となり、結果的にイギリス軍の夜間戦闘機に撃墜れた

爆発事故[編集]

ドイツの飛行船が大爆発事故を起こしてから使われなくなった。それはヘリウムガスの無いドイツは、水素ガスを使っていたことが原因であり、ヘリウムを使えば爆発の危険はない。
現在では、巨大な機体と遅い速度を利用して空飛ぶ宣伝広告として使われている。
ちなみに、ドイツで大爆発事故を起こした飛行船(ヒンデンブルク号爆発事故)と、現在東京上空で広告宣伝飛行を実施している飛行船(ツェッペリンNT)は製造元が同じ名前(ツェッペリン)。

ツッコミ[編集]

  • ヒンデンブルク号の大爆発事故の原因は水素ガスではなく船体外皮の塗料によるもの。1997年にNASAの水素関連スタッフが解明した。
    • この外皮構造を分析した結果予測によると、たとえ不燃性のヘリウムガスを搭載していても、気嚢外皮は静電気放電発火により炎上は不可避だった。
    • 無論、不燃性のヘリウムガスであれば最終的な大爆発は避けられたというのは変わらないが、最初の発火理由からしてヘリウムガス搭載飛行船でも間違いなく墜落している。
  • 飛行船は遅いイメージがあるが、実際は地球上に存在する(原子力空母を含む)船舶より高速で、ツェッペリンNTは最大で時速125km(約60ノット)程度、爆発事故を起こしたヒンデンブルク号の最高速度は時速135kmだった(昔の方が速い)。これは特急列車と同じくらいの速度。計画中のジャンボジェットよりも大きなサイズのエアロスクラフトは時速300kmを予定している。
    • 飛行船がこういった高速が出せる理由は、浮力と推進力が完全に別なので移動速度を増すためには単純に推進力エンジンを積める限りどんどん積載すればいいだけなので、船舶、列車や飛行機よりも速度アップが簡単なことから。
  • 飛行船の欠点としては「デカい」(大きい)というものがあるが、成層圏にまで到達できるため、高効率の太陽電池を貼りつけて高効率の二次電池を搭載すると、近代戦争においてはミサイル級の脅威となりかねない。実際に、ドローン(フライング・プラットフォーム)がロシアウクライナ戦争でこんなに活躍するとは思っていなかった。

脚注[編集]